全て思い出すっちゅーことは、喧嘩のことも思い出すことになりよるやっか。
したらあいつはどうする?
俺から離れてくんやなかかいなね?
やったら記憶なんか戻らんまんまがよか、思いよる自分がおると。
虎鉄の記憶が戻るか戻らんかは俺の決めることやなかばってん、出来ることなら




















* よもつひらさか:7 *




















「目が覚めたら全部思い出している、という可能性もあるそうだよ」
猪里に勇気を持たせるつもりで、牛尾は云った。
「……全部、ですか…」
猪里はぼうっと虎鉄が横たわっているベットを眺めていた。
シーツも掛け布団も枕も白くて、目が痛いとさえ思えた。
















「俺とお前の写真はあったりしねぇNo?」
「あるよ。ばってんなーお前んちにありよるのと同じよ?」
「なーんDa」
初めはぎこちなかった会話も、時間が経つに連れてどんどんスムーズなものに変わっていき、談笑などしているうちに陽も落ち切ってしまっていた。
虎鉄がちらりと時計のほうを見たのに気付き、猪里もそこで初めて時間を気にし始める。
「もうこげん時間とかいな。帰るかい?」
「………」
「虎鉄?」
「…っ」
「?」
何か話そうとしたのか、虎鉄が口を開いたのを見て猪里は首を傾げた。
「…帰りたくない。まDa…」
「虎鉄…」
「…」
「もっといろいろ知りたいいうんはわかる。ばってんさ、今のお前の状態じゃ家の人も心配するやろーし…、な?やけん帰り」
「…違ェ」
「…え?」
虎鉄が腰を上げたのを見たと思ったら、次の瞬間猪里は抱きすくめられていた。
「…もっと傍にいたいんDa」
「な…」
耳元でそう云われて、肌が粟立った。
「やめ、放し…ッ」
「嫌Ka?」
「そうや、なか、けど…ッ」
虎鉄の腕の中で尚も猪里は暴れた。
こんなふうに抱きしめられたのは久し振りである。
「…猪里、」
少し低い声で囁かれて、猪里は抵抗をやめた。
「…別に泊まるなら、それでもよかけど。電話、せんと。心配させたらいかんよ」
「…ん」
大人しくなった猪里の髪に顔をうずめると、虎鉄はそのままじっとしていた。
「俺、よくこーやって抱き着いてTa?」
「…うん」
「なんか、こうやってると落ち着Ku。猪里の匂いがすRu」
「……」
複雑な心境だと客観的に思いながら、猪里もおそらく虎鉄と同じ安心感を得ていた。
こうされるのは、前から好きだった。
照れて毒も吐いていたが、それは紛れも無く照れ隠しで、虎鉄もそれをよく理解してくれていた。
「…これは、思い出したうちには入んねーのかもしんねーけDo、…ッ」
云いかけて、虎鉄は言葉を切った。
「?」
猪里が虎鉄を見上げると、虎鉄の腕が力無くだらりと垂れ下がり、全体重が猪里に打ち掛かった。
「虎、鉄…!?」
虎鉄はスイッチの切れた玩具のように、その意識を手放していた。
苦しそうにきつく眉根を寄せ、荒い息を繰り返している。
猪里が手を握ってみると、強く握り返された。
「ど、どうしよ…っ、」
目の前の虎鉄を見て、それから部屋を見回し、やっと目についた携帯電話を手繰り寄せると、猪里は慌てて何度か操作を誤りながら、電話をかけた。




















「目が覚めたら全部思い出している、という可能性もあるそうだよ」


病室で穏やかに眠っている虎鉄を眺めていたら、医師から軽い説明を受けたらしい牛尾が入って来た。
「……全部、ですか…」
猪里はぼんやりしながらそれを受ける。
結局あのとき電話をした相手は牛尾だった。
混乱する頭の中で、一番に思い浮かんだのは一番身近な大人である羊谷だったが、猪里は番号を知らなかった。
続いて浮かんだのが牛尾と蛇神で、より早くに出てくれそうなのが牛尾だと思ったのだ。
猪里との短い通話を終えた直後、牛尾は手際良く病院などに連絡を済ませ、急いで家の車で猪里の家まで来てくれた。
虎鉄の家にも勿論連絡はしたが、誰も出なかったらしい。
そういう訳で、虎鉄は救急車で、猪里と牛尾は牛尾家の車で、途中蛇神と羊谷を拾ってから病院へ向かった。
猪里を救急車に乗せなかったのは、牛尾がそれを止めたからだ。
その選択は正しかったと、羊谷は後でぽつりと云っていた。
そうして、最初の事故のときと同じ面子が揃うこととなった。
「……」
「少し眠ったほうがいいよ、猪里くん。とても疲れた顔をしているから」
「大丈夫…、です」
ぼそりと答えると、猪里は壁に寄り掛かった。
日付が変わって数分経ったところだった。
いつもの自分なら寝ている時刻だったが、眠気など微塵も感じなかった。
「…すみません。心配してもらっとるのに。でも、大丈夫です。牛尾さんたちは帰って平気ですよ」
疲れた神経をなんとか稼動させて、失礼のないように猪里は言葉を捻り出した。
「僕も、ここにいるよ。君も、虎鉄くんも、心配だから」
「すみません。わざわざ来てもらって、いろいろしてもらって、それでもう帰ってよか、なんて…云うのがどうかして…」
「いいんだよ」
目の前にいる猪里は明らかに思考が鈍くなっているようで、言葉を紡ぐのも億劫そうだった。
今なら牛尾相手に平気で無神経なことを云ってしまいそうで、それを恐れているようにも見えた。
余計な気を使わせるといけないなと思い、牛尾は部屋から退散することにした。
「じゃあ僕はロビーのほうにいるから。蛇神くん達もそこにいるから、何かあったら…」
猪里が心細そうな視線を投げて寄越した。
「猪里、くん?」
「もひとつ…我が儘いいですか、」
「うん」
「ここに…いてくれると、嬉しいです。なんかひどいこと云い出しよるかもしれんけど…それでも平気なら…」
「いいよ」
妙に間を取ると、不安がらせてしまうと思い、牛尾は笑顔で即答した。
「でも少し、待っててくれないかな。蛇神くん達にも状態を知らせてこないと」
「あ、…はい」
「ごめんね。すぐ戻るよ」
「はい」
云うと、牛尾はゆっくり病室を出て、そこからは足速にロビーへ向かった。
















ぎゅっと手を握ってみると、確かに握り返された感触があり、猪里ははっとした。
「虎鉄?」
小さな声で呼んでみると、虎鉄はすう、と薄く目を開いた。
「…、」
暫くぼんやりしていた虎鉄だったが、そのまま目だけを動かして猪里を見た。
「…、…」
その唇が動き、何か云ったようだったが、声になっていなかった。
だが今のは確かに猪里、と呼んだのだと何故か確信して、猪里は顔を寄せた。
「大丈夫?虎鉄」
「…アタマ、」
「ん?」
「ぐらぐらすRu…」
苦笑して、虎鉄は呟くように云った。
「…手、貸してくRe。体起こす、かRa」
「まだいかんよ。大人しく、寝とき」
「…猪里、」
懇願するように呼ぶと、仕方ないと思い、猪里は虎鉄の上半身を抱き起こした。
半分ぐらい体重を猪里のほうに掛け、だが特別辛そうにしている訳でもなさそうな虎鉄を見て、猪里は一息つく。
「悪い夢を…見てるみたいだっTa」
唐突に、虎鉄は話し始めた。
「お前のこと忘れるとか、そんなの、有り得ねェ、のに…、どうして俺……」
猪里は虎鉄の顔を見上げた。
目が涙で滲んでくる。
「…俺のこと、わかる?」
「猪里…、」
猪里の目尻を指で拭ってやり、虎鉄は続けた。
「猪里猛臣、17歳。…十二支高校2年C組。4月12日生まれのO型で、好きなもんは、ひよこサブレーとラーメンと、俺だRo」
猪里は滲み出てくる涙を拭いもせずに、虎鉄の肩口に顔をうずめていた。
「泣き虫で、甘えたで、だから可愛くっTe」
猪里の髪を撫でながら、虎鉄は続ける。
「黒豹でも他の誰のもんでもない、」
気付けば、虎鉄の頬にも涙が伝っていた。
だがそんなことなど気にもせず、虎鉄は猪里を掻き抱いている。
「俺だけの…大事な、恋人」
「…虎、鉄…ッ」
鳴咽も気にせず泣き出した猪里の体を虎鉄は優しく、力強く抱きしめた。
「少し、痩せたKa?」
「あ、阿保…ッ、誰の、せいやと…ッ、……ッ」
「…ごめん、」
一旦体を離して、虎鉄は猪里を正面から見た。
「ほら、顔正面から見してMi」
「…、」
涙でべしゃべしゃになった頬を袖で拭ってやりながら、こちらもまだ潤んでいる目で猪里を見つめた。
「悪かった、今まDe」
改めて云って、猪里の額に口付けた。
途端にまたぼろぼろと泣き出した猪里に、虎鉄はぎょっとする。
「い、猪里」
「……、…」
「ん?」
耳を寄せてやると、猪里はただ、よかった、と数回繰り返した。
「…泣くNa、」
「…んな、こと…、云ったって、」
涙腺が壊れてしまったのではないかという程、猪里は泣いた。
自分でも止め方がわからない、といったふうである。
猪里につられて虎鉄も泣いていたが、猪里をどうにか泣き止ませようと奮闘しているうちに、虎鉄の涙は渇いて何処かへ行ったらしかった。
















不意に、大きな音がして、二人の視線はそちらへ向かった。
戸のところに牛尾が立っていた。
どうやら、缶を落としたらしい。
「虎鉄…くん?」
「…牛尾さん、」
落とした缶を拾い上げた蛇神が、牛尾の後ろから現れた。
「蛇神さんMo」
「ん。この様子だとお前…」
「監督まDe」
「お前の為に、今までついといてくれたとよ、」
「…」
牛尾、蛇神、羊谷を順に眺め、虎鉄は頭を下げた。
「迷惑かけて、済みませんでしTa」
「ということは、」
「ハイ。…無事、全部…思い出しました」
牛尾が口許に手をやり、顔を歪めた。
「……よかった…ッ、本当に、よかっ、た」
「…泣くな、牛尾」
「泣いて、なんか…ない、」
そうは云うが、確かに牛尾は涙ぐんでいた。
その牛尾の頭を軽く撫でてやり、蛇神は虎鉄を見、猪里を見た。
「部員に知らせたらあいつら、半狂乱になっかもなァ?」
羊谷が楽しそうに、だが安心したように云った。




















次の日から一週間程、猪里は寝込んだ。
虎鉄も少し、熱を出した。
牛尾の提案で猪里は入院をし、虎鉄とベットを並べて仲良く寝込んでいた。
いかがわしいことすんなよ、と羊谷に釘を刺されたが、生憎期待に添えるような体力が、お互いになかった。
虎鉄はありとあらゆる精密検査の為いろいろな科をたらい回しにされ、それが原因で病状が悪化しそうだと本人は結構本気で思っていた。
当然猪里のほうが先に全快し、学校にも出られるようになった。
何だかやたらちやほやされて、猪里にはそれが擽ったかった。
「もう、大丈夫なん?」
「うん。心配かけて、ごめんね」
「全部虎鉄が悪いんやんか。タケが謝ることはない」
「ありがとう」
黒豹はいつも通りだった。
いつもの通りに猪里には優しく、いつもの通りに虎鉄に対しては厳しい言葉を吐いた。
そのまま更に数日経ち、あとは虎鉄の退院を待つだけだと思っていた猪里は、そうではないことに気が付いた。
「そーいやあの喧嘩は…、どーなったんやろ。虎鉄は忘れとるんかな?」
グラウンドの隅っこでベンチに座って呟くと、目の前を横切ろうとしていた鹿目が立ち止まった。
「何なのだ?まだ終わってなかったのか、あの喧嘩は?」
不快そうに鹿目は云う。
猪里は慌てた。
「な、ななな何で、」
「虎鉄が屋上で浮気してたとかいう、あれだろう?解決したんじゃなかったのだ?」
「解決はー…してなかとです。忘れとるならそれはそれで。覚えとっても、あいつが気にしてないならよかですよ、もう」
何故喧嘩の内容までばれてしまっているのか謎だったが、鹿目なら何でもありかと思えてしまうし、薮蛇になっても困るのでそこは軽く流した。
「お前はそれでいいのだ?」
「浮気は男の甲斐性、とか地で行く奴ですから。俺が気にせんかったらよかですよ」
そう云って微笑む猪里を、やはり不服そうに鹿目は一瞥してから、行ってしまった。
















数日経ち、予定通り虎鉄は学校に出て来た。
猪里以上にちやほやされ、そして手痛い言葉も受け、虎鉄は1日を過ごした。
そして放課後、待ちに待った、部活である。
「キザ虎先パーイ!!」
「うわーん、このまま猪里先輩と破局しちゃうのかと思ったー!!」
「……、」
「とりあえず…おめでとうございマス」
「一時はどうなることかと思いましたが…、これでやっと平和が戻りますね」
「ほんとっすね。よかったっす…。おめでとうございます、虎鉄先輩。猪里先輩も!」
「お、俺も?」
虎鉄が次から次へと祝いの言葉をもらっている横で、猪里は照れていた。
「あはは、可愛いー」
「阿保っ」
「いてっ」
猪里が虎鉄の足を蹴るとギャラリーが笑った。
そのなかへ、そんな雰囲気を全く無視した鹿目が割って入ってくる。
「ちょっと来るのだ、虎鉄」
「He?」
「いいから」
「ええぇ?」
「三象!」
「がああぁぁ!」
「え!ええぇぇ!?」
三象により虎鉄はひょい、と抱え上げられ、あっというまに拉致されてしまった。
「な……、な?」
場にいた全員が、絶句していた。












「お前、どういうつもりなのだ!」
「いやいやいやそれは俺が聞きたいでSu」
校舎裏に連れてこられ、そこに乱暴に降ろされると、虎鉄はいきなり詰問された。
「浮気すんのはいつものことだから仕方ないって思わせてるのはお前、男として最悪なのだ。だったらまだ浮気しただのしてないだのと欝陶しい痴話喧嘩してたほうがずっとましなのだ」
「…」
「何のことを云っているかわかるな?」
「…ハイ」
「こういうことはうやむやのまま放って置いたら駄目なのだ。猪里が可哀相だ。いいか、お前の為ではなく、猪里の為に云う。きちんとけりをつけるのだ」
それだけ云うと鹿目は身を翻した。
「あ、あの…っ、ありがとう、ございまSu!」
「お前一体何を聞いていたのだ?猪里の為なのだ」
「ハイ!」
虎鉄が元気良く返事をすると、鹿目は溜息をついた。
「なんか、変な役回りなのだ」












暫く校舎裏に居座っていると、黒豹に出くわした。
「…げっ。虎鉄やん」
「その節はどーMo。うちの猪里ちゃんがお世話になったようDe」
「お宅の猪里ちゃんなんかお世話しとらんし」
不快そうに云って、黒豹は煙草を投げ捨てた。
それを虎鉄が踏み潰す。
「あれは紛れも無く俺んだZe?今後一切手出しは無用Da」
「ほんなら、愛想尽かされるよーなこと二度とすんなよ」
「あぁ」
「泣かさんといてや」
「あぁ」
「わいみたいなんが手出し出来るような隙も、作ったらあかんで」
「当たり前Da」
「そんときゃ、問答無用で、折って畳んで裏返して東京湾やで」
「わーってRu」
ひらひらと手をふって、虎鉄はその場を後にした。
後ろから、黒豹の溜息が聞こえた。
「ったく…いつの時代のやくざDa」
少し笑って、だがしっかり前を見て、虎鉄はグラウンドへ向かった。
皆への挨拶など捨て置いて、まずやることがあった。
「…、」
猪里がトンボ掛けをしているのが見えた。
「猪里ー!!」
周りに人がいるのも気にせず、虎鉄は叫ぶ。
「ごめん、猪里!!あのときは、浮気とかそんなつもりなかったけど、勘違いされるよーなことして悪かっTa!今後絶対絶対、勘違いされるよーなことはしないし、勿論、浮気なんかもしない!!だから許してくReー!!」
猪里の周りでトンボ掛けをしていた人間は全て動きを止め、猪里本人は動揺のあまりトンボを落としていた。
「あ…っ阿保ーーーーっっ!!」
顔を真っ赤にして、猪里が叫んだ。
「そげんこと大声で云うか!?非常識もいいとこ…っ」
「本気だから大声で云えるんだRo!?」
「馬鹿!阿保!!非常識!!!」
「…お前もNaァ!云いたいことがあったら云えよNa!?何でお前の本心他人から聞かなきゃなんねーんだYo!!」
「やって、これ以上嫌な思いするぐらいなら我慢したほうがいいって、思ったけん、黙っとったんやっか!!お前、今までどんだけ俺が堪えて来たか知っとー!?」
お互い喚きながら、歩み寄っていた。
雲行きの怪しくなって来た二人を、場にいる部員全員が見守っている。
「知ってるSa!その度に梅とか黒豹とかに叱り飛ばされてきたからNa!!なんで俺に直接文句云わねーんDa、お前!」
「直接、云えるか?浮気すんなって?俺の傍にだけ、いてくれって!?女の子より、俺を見てくれ、なんて…ッ!!?」
目の前に来た虎鉄を、猪里はきっと睨み付けた。
「云いたいこと云いあわねェと、お互いを理解出来ないだろうGa」
「……、」
「我慢したほうが、忘れたほうがましなんて、あるかYo」
「………、」
「今までたくさん泣かせたNa。ごめん!」
「この、馬鹿虎!!」
猪里が、虎鉄の頬を平手で打った。
ぱん、と小気味良い音が響く。
「今までの分。云う代わりやけんね。これからは、山程嫌味云うたるけん、覚悟し」
「…おう」
「…俺も、ごめん。殴るなり、していいよ。それでおあいこ」
云って、猪里はぎゅっと目を瞑った。
その猪里の耳元に顔を近づけ、一言呟く。
「今晩、布団の中でNa」
「!」
途端に、また猪里の顔が赤くなる。
「ば、ばかとらーー!」
「あはは、真っ赤」




















「よかった。元通りになって」
「あぁ」
遠巻きに眺めていた牛尾が云って、蛇神も頷いた。
他の部員達も、決着がついたらしい二人に安心して、トンボ掛けを再開していた。
「元の鞘に納まったな」
「じゃなかったら僕、虎鉄先輩闇討ちしてるよー」
兎丸は笑っているが、猿野はその末恐ろしさに、恐れ入っていた。
兎丸だったら本当にやりかねない。
いろんな方面から考えて、虎鉄は命拾いをしたと思う。












「さー部活だ部活っ」

「駄目!お前まだ絶対安静!」

「えー、やだSi」

「やだやなかし」

「久し振りの部活なのNi…」

「仕方なかねー。今日は俺とキャッチボールするだけで我慢しー?」

「やったー。猪里ちゃん大好きー」

「……」

「やだ、照れてRu。かーわいー」

「せからしかっ」




















END




********************
やっと終わったよ、これ。
うん。
暗くなりすぎて、途中どうしようかと思った。笑
虎鉄が記憶を取り戻したときの台詞は、書き始める前から決まってました。
鹿様の台詞も、キャプテンがよかった、って云って泣くのも、いろいろ。
ただ唯一削ったのは、梅ちゃんの出番。
長さの関係というより、台詞を黒豹にとられたので。爆
こんな長いの書いたの初めてです。
本当に御粗末さまでした。




2005.10.10